東芝音工アップルレーベルの黒い内袋について [ビートルズ関連@音源]
で先日、状態のいいものくらいはビニール袋取り替えておこっか、と引っ張り出したときにみつけてしまいました。
日本でアップルレーベルから最初のシングル盤がリリースされたのは1968年12月5日、メリー・ホプキンの「悲しき天使」(AR-2160)でした。この曲は日本でも大ヒットしたので今でも中古屋さんで頻繁にみつけられるインフレ盤です。
このタイトルのレコード盤を収めるアップルロゴ付き黒い中袋(カンパニー・スリーブ)がリリース初期と思われる盤では「両面穴あき」である、ということに気づいておられる方は多いでしょうが、そこにこだわって言及される方はあまりいないみたい。
わたくしも、アップルアーティストの、たとえばジ・アイビーズ「メイビー・トゥモロウ」(AR-2198 69年3月10日リリース)を入手したとき、「両面穴あき」中袋に収められていて、ああ、アップル出たての頃はこっちの中袋だったんだなー、くらいにしか思っていませんでした。
で、今回送られてきたシングル盤群を吟味中、東芝アップルレーベルからは初のビートルズ名義シングル盤リリース「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」(AR-2207 69年3月10日)、つづく「ゲット・バック」(AR-2279 69年6月1日)、「ジョンとヨーコのバラード」(AR-2301 69年7月10日)の3タイトルが「両面穴あき」中袋姿でご丁寧にも三タイトルとも二枚ダブリで含まれていたのでした。
それまでビートルズのリリースで「両面穴あき」中袋に遭遇したことが無い、と言うか気にしたことがなかったので、この一件はショーゲキ的でした。
ここで整理しておくと、これが日本盤「両面穴あき」中袋
「悲しき天使」以来「ジョンとヨーコのバラード」まで、東芝音工からアップルレーベルでリリースされたアップルアーティストのシングル盤は
AR-2160 悲しき天使 by メリー・ホプキン 68/12/5
で、以降のリリース
これらのわたくし所有のものはすべて「片面穴あき」でした。ただ、発売日が20日後の「ニュー・デイ」やレコード番号は後ながら「ジョンとヨーコのバラード」と発売時期が一番近いジョンの「平和を我等に」あたりには「両面穴あき」があるかも、みたいな気もしています。
ただし、大事なことなので二回言いますが、中袋は後からの差し替えが容易ですから、ジョンの「平和を我等に」や「ヘイ・ジュード(AR-2121)」出品で「両面穴あき」中袋のレア度を強調するような出品者さんがいても、くれぐれも安易に乗っからないようお気をつけください。
と、暇に任せて忘れないうちに書きました。次回からはリング・オー・レコードに戻ります。
広川太一郎氏逝去… [ビートルズ関連@音源]
広川氏と言えば、数々の名作映画の名優の吹き替えやアニメの有名キャラ担当で世間一般的に超有名な方ですが、わたくし的には、1970年代に民放TVで放映されたビートルズの主演映画「ビートルズがやってくるヤア!ヤア!ヤア!」と「ヘルプ!4人はアイドル」で、ジョン・レノン役を「ジョンが日本語で喋ってたらこーだろーな」と思う位軽妙に、かつウイットに富んだ言い回しで吹き替えてらしたことと、英国産コメディ番組の金字塔「空飛ぶモンティ・パイソン」シリーズでのエリック・アイドル役、その流れのラトルズ=「オール・ユー・ニード・イズ・キャッシュ~金こそすべて(四人もアイドル)」におけるナレーター&ダーク・マックィックリー役の吹き替えで、ビーヲタ的重要度ナンバー1の声優さんでした。
68歳って、まだまだ早すぎです…書かずにはいられなかったので取り急ぎ、謹んで心からご冥福をお祈りします…合掌…
"Those Were The Days" by CYNTHIA LENNON [ビートルズ関連@音源]
THOSE WERE THE DAYS / WALKING IN THE RAIN CYNTHIA LENNON
dice MUSIC LIMITED / 1995 / C7 DIM 002 / Made in the E.E.C.
故ジョン・レノンの前妻シンシアさんが1995年にリリースした2曲入りマキシ・シングルです。"Those Were The Days"は言わずと知れたビートルズ設立のアップル・レーベルからポールのプロデュースでデビューしたメリー・ホプキン(Mary Hopkin)の大ヒット曲。邦題は「悲しき天使」。
歌うのが本職ではない人のレコーディングに使われる常套手段=ヴォーカルの多重録音が全編かなり露骨に施されていますが、当時55歳のシンシアさんの歌声はなかなか力強く音程もしっかりしています。アレンジは完全にメリー・ホプキン・バージョンを踏襲していますが、最初の「ララララーララ」の部分と4コーラス目を全部カットしてあるので約4分と本家にくらべて短めになっています。2曲目の"Walking in the Rain"はミディアム・テンポのゆったりした曲で、ここでのシンシアさんの歌声が時々、まじめに歌っている時のオノ・ヨーコさんの声質にそっくりな時があってドキッとしました。
このCDのプロデュース、アレンジと2曲目の作詞/作曲/一部ヴォーカルも担当したクリス・ノーマン(Chris Norman)は、70年代中頃にスモーキー(Smokie)というポップ・バンドのヴォーカルとして数々のヒット曲を世に送り出したイギリス人。日本でも「アリスは恋人 "Living Next Door to Alice"」なんてのがそこそこヒットしてました。バンドとは別名義で1978年にスージー・クアトロ(Suzi Quatro)嬢とのデュエットでヒットした「メロウなふたり "Stumbling In"」の方が覚えてる人が多いかも。彼のオフィシャル・ホーム・ページ 'Official Chris Norman Fanclub' によると、現在でもコンスタントにアルバムをリリースして精力的に音楽活動しているようです。本題とは関係ないのですが、このページのバイオグラフィを見てたらハリー・ベラフォンテの娘さんのシャーリー・ベラフォンテさんとのデュエットなんていう仕事もありました。有名人の親族関係に強いのか?クリスとシンシアさんはグレート・ブリテン島とアイルランドの間にあるアイリッシュ海に浮かぶマン島に住んでいて、ご近所さんだったところからこのCDの企画が生まれ、クリス自身のレーベル'Dice' からリリースされました。
ジョンを諦めて26年、ジョンの死後15年の月日を経ての歌手デビューに"Those Were The Days" を選び、なおかつ4コーラスめ(ここでは懐かしい人との再会が描写されています)を歌わなかったシンシアさんの気持ちを想うとかなり感慨深く切ない音源ではあります。昨年 "John" というジョンとの思い出を綴った300ページ以上もある書籍を出版したシンシアさん。そろそろもう一曲歌ってくれないかな。"In My LIfe" とか。