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チャリティ盤@リレー・ヴォーカルの世界72 米国之拾弐 [リレー・ヴォーカル 米国]

もう一つ、911の犠牲者に捧げるチャリティ企画(だったはずのもの)。マイケル・ジャクソンが2001年9月16日に表明したこのプロジェクトによる楽曲は、いろいろあってなかなか発表されず、翌々年の2003年10月27日からネットのダウンロード販売のみという形式で、2ドルで発売されました。

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What More Can I Give by Michael Jackson (and friends)
Todo Para Ti by Michael Jackson (and friends)

英文Wikiのここに事のあらましが詳しく書かれています。少し補足しときますと、この「What More Can I Give」という楽曲は、1999年に南アフリカ共和国の黒人解放運動指導者ネルソン・マンデラ氏と会談した時にインスピレーションを得て、1990年代のコソボ紛争に巻き込まれたアルバニア系住民に捧げる曲として1999年中にはすでに書き上げていたらしい。また、2001年はマイケルにとって、ソロ30周年という記念の年でもあり、9月7日と10日にニューヨークのMSGで「Michael Jackson: 30th Anniversary Celebration, The Solo Years」というイベント・コンサートを豪華ゲストを招いて大々的に開催しました。オノ・ヨーコさんも参加。あの "We Are the World" もクインシー・ジョーンズの指揮の下、Whitney HoustonやJames Ingram、Liza Minnelliなどの共演者らとともに披露されたそうな。そんなイベントの翌朝に事件が勃発。衝撃を受けたマイケルは、すぐに、"We Are the World"タイプの楽曲をチャリティとして制作することを発表。さらに10月21日には「United We Stand: What More Can I Give?」と題した911の犠牲者に対するチャリティ・コンサートをワシントンD.C.で開催。 James Brown, Al Green, Carole King, Rod Stewart, Bette Midler, America, Huey Lewis, Destiny's Child, the Backstreet Boys, Usher, Pink, 'N Sync, Mariah Carey, Aerosmithなどが出演。トリで登場したマイケルが「What More Can I Give」を初披露します→You Tubeのここ

この楽曲が通常のCDとして発売されなかった理由はいろいろ説があるようですが、情報を要約すると…

この時期のマイケルは、当時リリース前だったニューアルバム「Invincible」のプロモーション方法をめぐって所属の米国ソニー・レコードと対立状態。10月末にアルバムはリリースされましたが、マイケルの意向通りにシングルを発表できなかったり、アルバムの売り上げもいつもより振るわなかったことから「売れなかったのはソニーの宣伝が足りなかったから」「米国ソニーの社長Tommy Mottolaは人種差別の塊だ!」とソニーを提訴するまでの事態に発展しました。さらに、2002年中頃、この楽曲の制作資金を提供したMarc Schaffelという人物が、過去「ゲイ・ポルノ」の監督をしてた事が発覚。加えて1993年からたびたびゴシップ誌を賑わせてたマイケルの児童虐待疑惑…などなど、マイケルをとりまくネガティヴな要因が重なったことが原因のようです。2002年7月には、米国マクドナルドが店頭での特別販売を一度は決定しましたが、結局中止。結果、冒頭に述べたようにhttp://www.whatmorecanigive.com/ というオフィシャルサイト(現在は消滅)からネットのDL販売のみということになりました。911事件から2年以上経過しているのでチャリティ先は911関連ではなくマイケルの意向で決定された模様。Fox ニュースによると、オフィシャルサイトでアナウンスされていたチャリティ先に「The Oneness Foundation」「The International Child Art Foundation」などと共に「The HELP Organization」の名前があり、「The HELP Organization」は米国のかなり大きめな新興宗教団体「Scientology」の系列なので、911犠牲者のために集まったはずの多数のアーティストたちの善意は、知らず知らず一新興宗教団体の資金集めに加担させられるハメになる…と伝えています。マイケルは一時この団体にかなり入れ込んでたらしいけど、そうじゃない人にとって、これはちょっとヒドイよねえ…

で、参加メンバーは…

3LW, Aaron Carter, Alejandro Sanz, Anastacia, Beyoncé Knowles, Billy Gilman, Brian McKnight, Bryton, Carlos Santana, Celine Dion, Cristian Castro, Gloria Estefan, Hanson, Jon Secada, Joy Enriquez, Juan Gabriel, Julio Iglesias, Laura Pausini, Luis Miguel, Luther Vandross, Mariah Carey, Michael McCary from Boyz II Men, Michael Jackson, Mýa, 'N Sync,Nick Carter , Olga Tañón, Reba McEntire, Ricky Martin, Rubén Blades, Shakira, Shawn Stockman from Boyz II Men, Thalía, Usher, Tom Petty ,Ziggy Marley

セリーヌ・ディオン、インシンク、トム・ペティ、リッキー・マーチン、マライア・キャリー、シャキーラ、カルロス・サンタナ、フリオ・イグレシアス、ビヨンセ、ハンソンなどなどビッグ・ネーム揃い。スペイン語ヴァージョン Todo Para Ti も録音されていて、英語バージョンと参加メンバーが若干異なります。動画はYou Tubeのこことかmetacafeのここ。スペイン語ヴァージョンはYou Tubeのここ

上記画像はオフィシャルサイトに貼ってあったもの。ダウンロードできたのは3:36 (English version) のみで、この他に5:10 (English version) と4:38 (Spanish version) あり。

なんかグダグダなプロジェクトでしたな(苦笑。チャリティ先で一気にオチがついてしまって、後味悪いっす。楽曲もイイし参加メンバーも豪華なのにもったいないな…

次回は911関連まとめです。
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喜屋武

What more can I giveの日本語での情報を探していました。こんなに詳しく書いていただいて、ありがとうございます!

一つだけ、思ったことがあります。日本では、宗教って言うと、「ええー。。。」って引いてしまいますよね(笑)、、でも外国では、チャリティを行なっているのが主に宗教団体なので、例えば何か災害があった時に、その団体は人から集めた物や寄付を、必要としている人たちに届ける役目を果たしてくれます。

ちゃんと人助けの目的を果たしてくれていれば、問題はないと思いますので、3つ目の団体も、自分たちの教会の資金に回したってことはないのではないかと、思った次第です。
by 喜屋武 (2009-09-11 19:42) 

nabe-t

喜屋武様。コメントありがとうございます。

マイケル氏は、チャリティに積極的で色々表明を出すのですが、その後のことが報道されない…ってのがたびたびで、http://nabe-t.blog.so-net.ne.jp/2009-01-26 でふれた「I Have This Dream」の件も調べるの一苦労でした(笑。

チャリティは、お金集めですから組織をきちんと作らないとずぶずぶになってしまうという過ちの例は過去いくつもあります。そういう意味で宗教団体を通せば組織ができあがっている分効率的というメリットもわかります。ただ、宗教(信仰)って、あくまで個人の領域で、それぞれの好き嫌いもありますよね。欧米で大掛かりなチャリティを催す場合は、まずそれ用のファンドを立ち上げて、という方法が一般的で、その中に宗教的な団体が加担してる場合もあるでしょうが、事前に構成団体すべてが知らされていることがルールとなってるようです。このマイケルさんのケースは、当初の目的を変えてしまっている上、このニュースになった団体がいろいろと敵も多い団体なようなので、こんなニュースが出てしまったのでしょう。当初の予定通り911犠牲者に素直に寄付すれば良かったのに、とわたくしは思います。

by nabe-t (2009-09-13 18:06) 

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